貿易黒字縮小

貿易黒字42.1%減 08年上半期 原油高騰で輸入額増
2008年7月24日 東京新聞 夕刊

 財務省が二十四日発表した二〇〇八年上半期(一−六月)の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出から輸入を差し引いた貿易黒字額は前年同期比42・1%減の二兆九千五百八十六億円となり、半期ベースで四期ぶりに縮小した。

 原油など資源価格の高騰で輸入額が十一期連続で過去最高を更新したことに加え、米国経済の減速から乗用車を中心に対米輸出が減少、〇一年上半期(44・3%)以来のマイナス幅になった。

 六月の貿易統計速報では対米輸出の減少傾向に欧州向け輸出減も重なり、輸出総額は前年同月比1・7%減の七兆一千五百九十六億円と、五十五カ月(四年七カ月)ぶりのマイナス。貿易黒字は88・9%減の千三百八十六億円に急減。原油高などを背景とした世界景気の減速が、国内景気をけん引してきた輸出に影響を与えていることが浮き彫りになった。

 〇八年上半期の輸入総額は前年同期比10・5%増の三十八兆九千六百七十七億円。原油の輸入通関価格は一バレル=一〇〇・九ドルと二期連続で最高を更新、輸入額は54・0%も伸びた。

 東南アジアからの液化天然ガス(LNG)や米国からの小麦、トウモロコシなど資源・食料価格上昇も影響し、東京電力柏崎刈羽原発新潟県)の運転停止により、代替用の発電燃料となる石炭の輸入も増えた。

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 うーん、過去10年の動向をみても、特に特別な事態がない限りファンダメンタル的にはその国の貿易収支黒字と通貨高は連動している(円転のボリュームが増える、みたいな)。だから、このニュースのような事態が続くと需給面で円安要因となりうる。
 コモディティ価格の上昇もまた、決済通貨であるドルの需要が高まるため、これも需給面では円安要因だ(これは、金額ベースでの貿易収支黒字縮小を意味する)。しかし、輸入面でのコモディティ価格の上昇が、どれほどドルを押し上げる要因になるのか。それはわずかだと思う。一方で、米国も輸入が減少しているなら、ドル高要因にならないか需給的には。
 つまり、貿易収支の黒字縮小は、短期的には直接的な需給を通じて円安と連関し、またその円安が安定化してくると、輸出の押し上げをもたらし、内需刺激をもたらすので円高要因となる。
 一方でマクロ経済的には、米国景気は低迷が続く限り、ドル安が止まらないということになる。